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成功するD2C(ネット通販)の3つの共通点。失敗する事業者との明確な違いとは?

2024.06.11

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加藤 公一レオ

成功するD2C(ネット通販)事業者には共通点がある

売れるネット広告社 代表取締役社長 CEOの加藤公一レオです。

私は20年以上ダイレクトマーケティングに携わる中で、100社以上のD2C(ネット通販)事業者のコンサルティングを手がけてきた。その中には、年商100億円を超えて大成功した企業も多い。

 一方で、世の中には夢を持ってD2C(ネット通販)ビジネスを立ち上げたものの、思うように売上・利益を伸ばせずに赤字続きであったり、撤退を余儀なくされたりした事業者も少なくない。その違いはいったいどこにあるのだろうか?

 そこで、100社以上のコンサルティングを手がけてきた私が見出した、成功するD2C(ネット通販)の3つの共通点をお伝えする。

成功するD2C(ネット通販)の共通点①:商品にわかりやすい“差別化”要素がある

 まず、ネットで売れる商品とは、以下のいずれかに当てはまる商品である。
 

これを使ったらお金持ちになれる

これを使ったら悩みが解決する

これを使ったらモテるようになる


 これはD2C(ネット通販)に限らず、情報商材などにも当てはまることだ。その中で、特にD2C(ネット通販)で成功している商品の共通点が「わかりやすい“差別化”要素」があることである。

 “差別化”というと、成分で勝負しようと考える人もいるかもしれないが、成分を訴求してもお客様にはあまり伝わらないので、D2C(ネット通販)商品の“差別化”要素としてはいまいちだ。

 D2C(ネット通販)商品の“差別化”は、五感で特徴を感じられるようなわかりやすいものがいい。クレンジングひとつをとっても、「肌につけた瞬間温かく感じる」「肌の上でトロッととろける」「炭酸ガスが入っていてシュワッとする」など、D2C(ネット通販)では、見たり触ったりして商品の特徴を実感できる“とんがった”商品が売れる傾向にある。

 “差別化”自体はマーケティングの世界で昔からよく言われることであるが、D2C(ネット通販)事業者は、自社商材の“差別化”が一般のお客様にとって本当にわかりやすいものになっているのか、視覚や触覚で他社商材の違いを感じられるものになっているのか、一度立ち止まって考えてみてほしい。

 また、これから商品開発を行うD2C(ネット通販)事業者は、「わかりやすい“差別化”要素」を念頭に置いて商品開発をするといいだろう。

成功するD2C(ネット通販)の共通点②:長期的に物事を見るマインドがある

「D2C(ネット通販)の定義は?」と聞くと、ほとんどの人が「お客様に直接売ること」だと答えるが、優秀な経営者は「お客様と中長期的に関係構築していくこと」だと答える。

 多くのD2C(ネット通販)企業は新規獲得に力を入れてCRMをないがしろにするが、D2C(ネット通販)の本質は、お客様と半永久的に関係構築していくことであり、初回申込みはあくまでも“きっかけ”でしかない。

 D2C(ネット通販)は、ひとりのお客様により長く、より多く買ってもらうことで売上・利益が最大化するビジネスモデルである以上、この本質をわかっているかどうかが成功と失敗の分かれ道になる。

 したがって、長期的なマインドを持ち、「いかに商品のリピートをさせるか」「いかにLTVを最大化させるか」に注力するCRM活動(関係構築)を行っているD2C(ネット通販)企業は伸びる。反対に、D2C(ネット通販)を単発的に考えて、新規獲得の数字ばかりに一喜一憂している企業は伸びていかない。

成功するD2C(ネット通販)の共通点③:資金調達よりも“黒字化”するスキーム

私が最近懸念しているのは、D2Cというワードが流行り出して、「資金調達しました!」というアピールをしているD2C(ネット通販)企業がかなり増えたことである。よくFacebookなどで「資金調達しました!」「おめでとう!」みたいなコメントを見るが、資金調達を喜んでいる場合ではない。

「資金調達」と言うとなんとなくカッコよく聞こえるが、ただの“借金”である。しかも、資金調達をしたD2C(ネット通販)企業の多くは、調達した資金で採算の合わない過剰な広告を打って“赤字”になってしまっている…。

 一方、派手なイメージがあるかもしれないが、青汁王子(三崎優太さん)は、起業当初は一切借金をせずに、しっかりと広告を黒字化するスキームをつくって事業を軌道に乗せた。さらにさかのぼれば、「やずや」や「はぴねすくらぶ」といったオフライン時代からある企業もずっと黒字の無借金経営である。

 どうしても、「自分で稼いで貯めたお金」と「他人から借りたお金」では経営者の判断に違いが生まれてしまうことが多い。だから、資金調達をしたD2C(ネット通販)企業は、「自分のお金だったらそんな投資する?」と思ってしまうアホな投資をしている企業が多いのだ。

 ただ「先に市場を取っておきたい」という気持ちがあるのもわかる。資金調達が功を奏したのがバルクオムだ。同社は資金調達によって一気に男性向けコスメ市場のシェアを拡大した。あそこまで徹底的に突き抜けるなら資金調達するのもいいが、中途半端な資金調達なら、きちんと初年度から利益を出して黒字経営に徹したほうがはるかに良いのである。

ヒントは「オフライン」にあり

「やずや」「はぴねすくらぶ」「再春館製薬」など、オフラインを中心に伸びてきた通販会社は九州に多く、九州はかつて「通販王国」とも呼ばれた。これらの通販会社には「徹底してCRMがうまい」「無借金経営が多い」という特徴がある。

 赤字でもいきなりテレビCMを打ったり、いきなりブランディング広告を打ったりと、ベンチャーキャピタルが入って過剰な投資をする最近のD2C(ネット通販)企業とは正反対である。しかも、最近のD2C(ネット通販)はCRMがヘタだ。LTVを伸ばすことよりも新規獲得にフォーカスした結果、広告投資を回収できていない企業が非常に多い。

 オフライン発の通販会社がなぜCRMに強いかというと、デジタルに比べて圧倒的にコストのかかるダイレクトメールや同梱ツールといった紙媒体を使ってA/Bテストを繰り返し、最適化してきた歴史があるからだ。

 新興系のD2C(ネット通販)企業は、ネット広告を打てばそれなりに新規が獲得できるし、デジタルでCRMもある程度自動化できるので、新規獲得に意識が向きがちで、CRMへの意識が弱い。

 もちろん、最近のD2C(ネット通販)でも同梱ツールを活用している企業も多いが、中身を見てみると、やはり歴史のある通販会社のほうがうまい。オフラインを中心に伸びてきた通販会社が、「お客様と中長期的に関係構築していく」という通販ビジネスの本質にのっとって、LTVの最大化に愚直に取り組んできた結果である。

オフラインの“先人”から学べ!

オフラインであってもオンラインであっても、「初回申込みをきっかけとして、半永久的にお客様との関係構築をしていく」「1人のお客様により長く・より多く買ってもらうことによって売上・利益を最大化する」という通販ビジネスの本質自体は変わらない。

 したがって、「やずや」をはじめオフライン時代から続いている通販会社から最近のD2C(ネット通販)会社が学べることはたくさんあるはずだ。にもかかわらず、最近のオンラインのマーケターはツールに頼ってばかりで、ダイレクトマーケティングの道を切り拓いてきた“先人”であるオフラインの通販会社から学ぼうとしない。

 ビジネスの本質は同じなのに、なぜかオフラインからオンラインに移行した途端、せっかく築き上げてきたノウハウの分断が起きているのである!それが今のD2C(ネット通販)業界の課題である。

 先に、成功しているD2C(ネット通販)会社の共通点として「①商品にわかりやすい“差別化”要素がある」「②長期的に物事を見るマインドがある」「③資金調達よりも“黒字化”するスキームを作っている」の3つを挙げたが、特に②・③について新興のD2C(ネット通販)企業がオフラインの通販会社から学ぶべきことは多い。

ビジネスの世界でも「歴史から学べ」と言われることは多いが、オフラインの通販会社がとってきた戦略や戦術はまさに「ダイレクトマーケティングの歴史」そのものなのである!