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2024.08.06 

加藤 公一レオ

転売屋などの不正利用から自社を守る方法とは? D2C(ネット通販)事業者が取るべき対策を解説
売れるネット広告社 代表取締役社長 CEOの加藤公一レオです。

近年、転売目的の購入といった「不正注文」が大きな問題となっているD2C(ネット通販)業界。“転売屋”や“初回ピッカー”の手口も年々組織化・巧妙化してきており、不正注文による被害がD2C(ネット通販)企業の利益を圧迫している。D2C(ネット通販)を手がける企業はどんな対策を採用すればいいのか? 不正注文の実態に触れながら、不正注文への対策を解説する。
D2C(ネット通販)をターゲットにした不正注文の実態
D2C(ネット通販)業界では、定期コース(サブスク)を主体としたビジネスモデルを設計している企業も多い。そのため、初回申し込みのハードルを下げ、まずは1度試してもらうために、新規顧客に「初回特別価格」をオファーするのが慣例になっている。「初回70%OFF、2回目以降10%OFF」のように、初回価格と2回目以降の価格に大きく差をつけているのが特徴だ。
一時期は、規定の回数に満たないタイミングで解約するとペナルティを科す、いわゆる“定期縛り”を設けるD2C(ネット通販)企業が多かったが、詐欺的な定期購入商法の社会問題化による法整備などで、“定期縛り”を設ける企業は少なくなってきている。

つまり、最近のD2C(ネット通販)商材の多くは、初回と2回目以降の価格差が大きく、かつ初回で解約してもペナルティがない。そのため、この価格差を利用して利益を得ようとする不正注文のターゲットになってしまうのだ。

初回価格が極端に安い商材の場合、販売手数料などを差し引いても利益が出るため、フリマアプリなどへの出品を前提に商品を購入する“転売屋”に狙われる。さらに「初回特別価格」目当てで商品を購入し、すぐに解約する“初回ピッカー”にも狙われてしまう。

“初回ピッカー”は転売屋ほど悪質ではないと思われがちだが、個人情報の一部を変えるなどして何度も「初回特別価格」で申込もうとする手口も存在し、詐欺に近いものもある。

こうした“転売屋”や悪質な“初回ピッカー”による不正注文は、D2C(ネット通販)企業の悩みの種になっており、不正注文による利益圧迫やブランド価値の棄損は、D2C(ネット通販)業界にとって、決して無視できないものになっている。
これが“転売屋”の手口だ!
D2C(ネット通販)商材の転売が問題になり始めた頃は、個人があちこちのD2C(ネット通販)商材を購入し、「初回特別価格」と2回目以降の価格差を利用して小遣い稼ぎをするというレベルだった。しかし最近では転売の手口も組織化・巧妙化し、D2C(ネット通販)企業が被る被害も拡大している。

こうした転売の実態を明らかにするため、売れるネット広告社は、実際に使われている「転売マニュアル」を極秘ルートで入手した。

この“転売屋”は、大勢のアルバイトを使って組織的に商品購入と転売を行っている。「転売マニュアル」には、ターゲットとなる商品名や購入URLはもちろん、フリマアプリでの販売価格、仕入額、利益率、解約のタイミングまで記載されている。これを見れば、転売が個人の小遣い稼ぎというレベルではないことがわかるだろう。
このような“転売屋”の場合、手元に在庫がない状態でフリマアプリに出品し、フリマアプリで商品が購入されると購入者の個人情報を使って、D2C(ネット通販)企業のサイトで商品申し込みを行い、直接購入者の元に届くようにしていることもある。そして、“転売屋”はフリマアプリの購入者に商品が届いたことが確認できた時点で定期購入(サブスク)を解約する。

こうした転売をはじめとする不正注文を放置すると、D2C(ネット通販)企業の利益が圧迫されるだけでなく、フリマアプリに安く大量に出品されてしまうことによって、ブランドイメージの低下にもつながってしまう。当然、これまで自社サイトで購入していた顧客が、より安く買えるフリマアプリに流れてしまうというケースもあるだろう。

規模の大小を問わず、不正注文対策はあらゆるD2C(ネット通販)企業にとって、喫緊の課題になっているのである。
どのような不正注文の対策があるか?
不正注文に頭を悩ませ「なんとか撲滅したい」と考えているD2C(ネット通販)関係者は多いはずだ。そこで、具体的な不正注文対策を紹介していく。



対策①:半永久的に〇%OFF

最も効果的な不正注文対策の1つが、「半永久的に〇%OFF」だ。つまり、「初回も2回目以降もずっと、半永久的に20%OFF」のように、定期コース(サブスク)の割引率を固定してしまうことである。

D2C(ネット通販)の定期商品が“転売屋”や“初回ピッカー”に狙われるのは、「初回特別価格」と2回目以降の価格差が大きいからだ。そこで、この価格差をなくして、初回も2回目以降もずっと同じ価格にすれば、“転売屋”や“初回ピッカー”にとってうまみがなくなるので、不正注文が激減するだろう。

初回と2回目以降の価格差をなくすと、結果的に初回申し込みのハードルが上がるため、コンバージョン率が下がる。しかし、不正注文が排除できる上、本気度の高い人しか申込まなくなるため、LTVが最大1.54倍アップしたケースもある。



対策②:ツーステップマーケティング

不正注文の被害が多いのは、新規獲得用のランディングページでいきなり本商品の定期コース(サブスク)をオファーする「ワンステップマーケティング」を採用しているD2C(ネット通販)企業である。

誰もが目にするランディングページでいきなり「初回70%OFF!」など、破格のオファーを見せているため、不正注文のターゲットになりやすい。
一方、まずは「500円モニター」のような低価格/無料のモニター商品をフックに見込み客を集め、その後本商品の定期コース(サブスク)にアップセルさせる/引上げる「ツーステップマーケティング」は不正注文のターゲットになりにくい。

なぜなら、「初回特別価格」を設定している場合でも、誰もが目にするランディングページにはその情報を記載していないからである。ランディングページに記載されているのは、あくまでも本商品の定期コース(サブスク)に誘導する前段階となる、モニター商品の価格だけだ。
「ツーステップマーケティング」で「初回特別価格」を記載するのは、アップセルを狙う「申込確認画面」や、モニター申し込み者が後日目にする「引き上げメール」「引き上げ専用ランディングページ」などである。
モニター商品を申込むつもりで申し込みフォームに入力した人にしか「初回特別価格」を見せないことから、“転売屋”や“初回ピッカー”の目にふれにくいため、転売被害に遭いにくくなるのだ。



対策③:申込確認画面に転売対策の文言

商品申し込みが完了する一歩手前の「申込確認画面」に、転売やポイント目的の購入を禁止する文言を追加するのも効果的だ。
具体的には次のような文言を記載する。

副業としての申込みが発覚した場合、警察に届出します

転売目的で申込みが発覚した場合、警察に届出します

ポイント目的で申し込みして即解約した場合、ポイントを無効とします

こうした文言を追加することで、不正注文の抑止力となり、アップセル率が最大1.46倍上がったケースもある。



対策④:検知ツールの導入

不正注文を排除するには、「O-PLUX(オープラックス)」「Spider AF(スパイダーエーエフ)」などの不正検知ツールの導入も効果的だ。

不正検知ツールにもそれぞれ強みがあるが、「初回特別価格」を悪用した転売目的の不正注文対策に特に効果的だといわれているのが、Spider Labs(スパイダーラボズ)の「Spider AF」という不正検知ツールだ。

2022年10月に「不正コンバージョンブロッカー」をリリースしており、リダイレクタや不正判定APを活用することで、不正なユーザーや申し込みなどをリアルタイムに検知、ブロックすることができるようになっている。

D2C(ネット通販)企業を悩ませる不正注文は、年々手口が組織化・巧妙化してきている。また、それに対抗する策もオファー設計の変更からシステム的な対応まで多数存在する。

不正注文の撲滅には、今回紹介した4つのうち2つ以上の対策を併用すると効果的だ。現時点ではそれほど大きな被害が出ていない企業でも、1度目を付けられるとあっという間に被害が拡大することもある。

不正注文対策が十分でないD2C(ネット通販)企業は、“転売屋”と“初回ピッカー”から大切なブランドを守るためにも、早急に不正注文対策に取り組んでほしい。

売れるネット広告社加藤公一レオ
株式会社 売れるネット広告社 (東証上場 証券コード9235)
​代表取締役社長CEO
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